北海道むかわ町出身。2004年に大学を卒業後、高校教員としてキャリアをスタート。その後、民間企業での事務職を経て、2021年に退職し、母校である鵡川高校へUターン。学習支援員としての勤務を経て、2023年度より魅力化コーディネーターに着任。2024年度からは、むかわ町の会計年度任用職員として勤務。座右の銘は「七転び八起き」
“やり残したこと”にもう一度向き合う
――コーディネーターになったきっかけを教えてください。
阿部:「人生で何かやり残したことはないかな?」と思ったのがきっかけです。2018年の胆振東部地震の時に生まれて初めて生命の危険を感じたことと、実はその年に父と祖母を続けて亡くすという経験もしていたので、なんとなく自分の人生を一度振り返ってみました。そこで「やっぱりもう一度、学校に関わる仕事がしたい」という自分の気持ちに気がつきました。
――母校で働くというのは特別な思いがあったのですね。
阿部:そうですね。母校で働くのは密かな夢でした。ある日、たまたま新聞を広げた時に「鵡川高校で働きませんか?」というパート募集の広告が入っていました。それを見た瞬間「これを逃したら、もう二度とチャンスは来ないだろうな」と思い、条件反射のように応募しました。そこからご縁があって、今でもこうして母校で働くことができています。
地域みらい留学と“むかわ学”を両輪に
――どのようなお仕事をされていますか?
阿部:高校魅力化コーディネーターとして、地域みらい留学の生徒募集や受入体制を整える仕事をしています。合同説明会に参加したり、SNSで学校のことを発信したり、学校の外部と関わることが多いです。留学生の暮らしを支えるため、住まいや送迎の手配、生活のフォローなどもしています。保護者から相談の電話を受けたり、留学生本人から「虫が出た」という電話が来て、駆除のために駆けつけたりすることもあります(笑)。
――それに加えて、“むかわ学”にも関わっているそうですね。
阿部:“むかわ学”では、地域と高校をつなぐ渉外係としての役割を担ってます。主に先生や生徒の「こういう人に会ってみたい」という声を拾って、地域の人をつないだり、一緒に企画を考えたり。時には、面白そうだと思う企画を自分から提案することもあります。

【特集】学校で聞こう!イマドキの高校生のリアルな声~北海道鵡川高等学校~(12月10日放送)https://www.hbc.co.jp/tv/doki/article.html?id=12729
――その他にも教育や地域に関わる活動があるのでしょうか?
阿部:そうですね、昨年は、中学校でも非常勤講師として国語を教えていました。午前中は中学校で授業、午後は高校でコーディネーターという、なかなかのフル稼働状態です(笑)。あとは、むかわ町のまちづくり委員会にも参加したりと、中高生の声を地域の大人に届けるということを意識しています。
“個性を活かす”“間”の存在
――この仕事のやりがいや、自分に合っていると感じるところを教えてください。
阿部:昔から、誰かの話をじっくり聞くことが好きでした。それが高じて、人の顔色をうかがってしまうところがあって、自分にとってはコンプレックスでもあったんですけど、この仕事では逆にそれが「強み」になっていると感じています。
――“間”に立つ存在としての強みですね。
阿部:はい。先生でも生徒でもない、ちょうどいい位置。だからこそ、生徒にとっても「なんかちょっと話してみようかな」と思ってもらえるし、先生たちにも「ちょっとお願いしてみようか」と思ってもらえる。そういうポジションが自分にはちょうどいいと思っています。
――コーディネーターに向いている個性とは、どんなものだと思いますか?
阿部:スキルや経験の量よりも「いま自分が持っているものをどう生かすか」が大事だと思います。私の場合は、語彙力や要約力といった「言葉で人に伝えるチカラ」を生かせていると感じます。人の話を聞くのが好きだからこそ、自分の視野がどんどん広がっていくし、自然と全体像を見るチカラもついてくる。あとは熱量ですかね。落ち込みそうなときでも「でも、これってチャンスかも…」と前向きに変換することができています。
――今後の展望について教えてください。
阿部:行動範囲をさらに広げて、鵡川高校のファンを一人でも増やしたいです。北海道のコーディネーターでネットワークをつくったり、他校とイベントを共催したりもしてみたい。…でも一番大事なのは、やっぱり健康ですね(笑) 体に気をつけつつ、社会主事講習にもチャレンジしたいと思っています。

「一番大事なのは健康」と笑う姿にも、背伸びせずに着実に歩を進めていく阿部さんらしさがにじんでいました。これからも、鵡川高校と地域の“橋渡し役”として、そしてチーム北海道の橋渡しとして阿部さんの活躍を楽しみにしています!
お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
※本記事は、2024年12月に開催されたコーディネーターイベントでの登壇内容をもとに、後日あらためてインタビュー形式で再構成したものです。
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