高校魅力化評価システム

高校魅力化の成果をどのように可視化していくのか?評価について考えることは、高校魅力化を多様な人々を進めていくにあたって進むべき方向性を定め、さらにそれを適切に進捗管理しながら継続していくうえで非常に重要です。(一財)地域・教育魅力化プラットフォームと三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が協働で開発した高校魅力化評価システムについてご紹介します。

「魅力ある高校づくり(高校魅力化)評価システム」とは?

このシステムは、高校魅力化がそれに関わる生徒の成長、意識・行動の変容に与える効果を可視化することを目的にした評価の体系です。この評価システムは、2019年度は、文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」における「PDCAサイクル構築のための調査研究」として、当該事業の指定校において、取り組みを評価するツールとして導入されました。

これからの社会、「社会に開かれた教育課程」に求められる資質・能力要素を把握
「社会に開かれた教育課程」に求められる資質・能力要素を「主体性」「協働性」「探究性」「社会性」に整理し、現場関係者が実感している生徒の成長実感を、アンケートを用いて可能な限り量的に把握。
学校・地域の学習環境(=「学びの土壌」)を把握
魅力化の現場では、個々の成長実感の背景に、周りの人の存在、関係性、機会が重要な役割を果たしている。本評価システムでは、こうした人の存在、関係性、機会といった地域の学習環境を「学びの土壌」と捉え、その環境を定量的に把握。


本システムを用いて実施した島根県内の高校魅力化実践校(魅力化校)の生徒と、全国調査における高校生の意識を比較すると、以下の項目等で魅力化校の生徒の方が高くなっていることが分かります。

  • 「先生、保護者以外に、地域に気軽に話せる大人がいる」+29.3%
  • 「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたいという気持ちがある」+28.6%
  • 「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」+27.2%
  • 「地域をよりよくするため、地域における問題に関わりたい」+25.3%
  • 「高校魅力化評価システム」に関する試行的調査の結果(抜粋)

詳しくはこちらから
MURC政策研究レポート「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」をいかに評価するか~「高校魅力化評価システム」の開発を事例として~

高校魅力化アンケート調査

島根県及び地域・教育魅力化プラットフォーム、三菱UFJリサーチ&コンサルティングにてアンケート調査を協働開発しています。評価システムにご興味ある方はお問い合わせください。PDFデータはこちらから

魅力化評価アンケートを活用した研修は、令和元年度 地域との協働による高等学校教育改革推進事業(全国サミット)(主催 文部科学省)にて実施されています。詳しくはこちらから

 

関連記事:「高校魅力化」の次なるカギは働き方改革と「見える化」にあり。主幹教諭体制と大規模評価を用いたPDCAサイクルの深化(学び続ける高校のプラットフォーム)

高校魅力化の社会・経済的インパクト評価について

国内初、市町村の人口・経済への高校魅力化の影響が明らかに
~高校統廃合に伴い市町村総人口の1%が転出超過、高校魅力化により総人口は5%超増加~

1.高校の存続・統廃合が地域社会に及ぼす影響の一考察
全国の市町村の人口動態と高校統廃合の関係性について、過去に高校統廃合がなされた市町村と、高校統廃合がなされなかった市町村との比較により考察を試みた。

・1990~2019年の約30年間で、1市町村に1つの公立高校が存在していた市町村の約2割において公立高校が消滅。
・統廃合により高校が消滅した市町村では、6年間で総人口の1%相当が転出超過。

図表1:統廃合年次を基準とした住民基本台帳人口 転出入人口 (MURC政策研究レポート「高校存続・統廃合が地域社会に及ぼす影響の一考察」より)

詳細はこちら…https://www.murc.jp/report/rc/policy_rearch/politics/seiken_191122_1/

2. 島根県の高校魅力化の社会・経済効果の分析
魅力ある高校づくりを全国に先駆けて行ってきた島根県の高等学校を事例として、高校魅力化の社会・経済的効果の推計を行った。

・高校魅力化により地域の総人口は5%超増加(2017年)。
・高校魅力化により地域の消費額は、3億円程度増加(2017年)し、歳入も1.5億円程度の増加(同)。
・高校魅力化に伴う町村の財政負担を加味しても、3,000~4,000万円程度のプラス効果。(高校魅力化に伴う町村の負担額の約1.8倍の歳入増加

詳細はこちら…https://www.murc.jp/report/rc/policy_rearch/politics/seiken_191122_2/

2019年11月22日プレスリリースはこちら(外部リンク)